Example 1. 黄道傾斜角の問題




Example 1(a).II4 p.80.
Given the terrestrial latitude(φ), compute the distance of the sun from the summer solstice as mesured form the summer solstice as measured along the ecliptic(Δλ).
Example: φ=4;15°(cf.II6 parallel,p.38)

問題は「地上緯度(φ)とありますが、結局太陽の赤緯がδ=4;15°(4度15分)となる場所は夏至の位置から黄道に沿って何度あるか?」です。



赤道座標と黄道座標の変換の式のうちのひとつは以下です。(「古天文学」p.85)
sin(δ)=cos(obl)×sin(β)+sin(obl)×cos(β)×sin(λ)
ここで、obl:黄道傾斜角,λ:黄道経度,β:黄道緯度,δ:赤道緯度

太陽の場合黄道経度,β=0度なので前の項は消え、cos(β)=0より、赤道緯度は次の式になる。
δ=arcsin ( sin(obl)×sin(λ) ) -----(1)
「Almagest」ではこの計算結果がTableI 15に与えられています。
  TableI 15

この表の90度の値からプトレマイオスは黄道傾斜角=23;51,20として計算していることが分かる。
計算値は上記(1)式と較べるとほぼ合ってますが10秒ぐらいの誤差があるにものもあります。

この表からδ=4;15°は10°と11°の間にあることがわかるので、比例配分して計算します。
λ=10+(4;15−4; 1,38)/(4;25,32−4; 1,38)=10;33,33(10度33分33秒)
夏至の位置はλ=90°なので、その差Δλは、
Δλ=90−10;33,33=79;26,27 がその答えとなります。
【「Almagest」本文では(79 1/2°)】

注:表示形式。 (度;分,秒,・・・)です。

 

Example 1(b).II6 p.89.
Find the terrestrial latitude(φ)at which the sun does not set for a given period of time.
Example: Period of one month.

問題は「太陽の赤緯が1ヶ月間沈まない緯度φを求めよ」です。


Tomerは太陽の一日の動きを約1°と仮定し、1ヶ月での動きを30°とした場合、その経度は夏至を中心に30/2=15°の所となるとして計算しています。
従って、その時の太陽の黄道経度(λ)は夏至から15°のところなので
λ=90−15=75° その時の赤道緯度δはTableI 15より22;59,41。
従って太陽が沈まない地点はφ=90−22;59,41=67;0,19 がその答えとなります。
【Almagest本文では(67°)】

 


2016/03/15 Up
2016/03/24 注追記

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