1. プログラムの改造
ダスト・トレイルの計算をカットアンドトライでやってみたがなかなか厄介。トレイルというだけあって長くつらなっているものを一括計算しないといけないので、一番速いのは数万のポイントを同時に数値積分して地球との距離を計算するのが良いのだろうけどパソコンでは無理なのでとりあえず以下の点を改造した。
・配列を外部定数にして最大100個のダストを同時に積分できるようにした。
(プログラムとしては読みにくくなりました・・・)
しかし、0.5日間隔で計算したいので、20個ぐらいでないとプログラムの終了が待てない。
・小惑星については影響は軽微のようなのではずした。
・最接近の時刻は分単位で測りたいので、計算を2段階に分けて、第一段階は0.5日ステップ、
第二段階(数日前より)0.5分ステップで計算できようにした。
・放出スピードの自動計算。例えば20個のダストを計算する場合、放出スピードをA(m/s)、
B(m/s)2点設定すれば、(B-A)/20の間隔で放出スピードを設定するようにした。
・fM(ダストの広がりを表す係数)については最初の回帰時の前後のダストとの距離をもとに
計算しています
2. 最接近ポイントをみつける方法(現状)
流星の期待できる最接近のポイントは彗星からの放出速度が−40m/sから40m/sぐらいにあるようなので、まずは1m/s間隔ぐらいで見当をつけて、段階を踏んで絞り込んで行く必要がある。20個ぐらいでやると、一回あたり1桁ぐらいしか下がらないので、最適ポイントを見つけるには数回繰り返す必要がある。 また最初を数値積分の精度を落として0.5日単位ではなく数日間隔とすると、精度を上げて行ったときに最適ポイントが移動してしまうので、最初からある程度精度を上げて計算する必要がある。
55P/Tempel-Tuttle 彗星の1866年の回帰を-40m/sから40m/sまでを100個で計算した例。
0.5日間隔で計算時間は約10分。 2001年11月の場合次に13.6〜14.4m/sを調べる。
3. 計算結果
結果の分かっている2001年のしし座流星群について計算してみました。対象になるのは55P/Tempel-Tuttle 彗星の1767年と1866年の回帰の時に放出されたダストです。
軌道要素は1866年はIAU Minor Planet Centerのデータ。1876年については同センタ−に記載が無いので、NAKANO NOTEを参照しています。
放出速度 地球との距離 日時 備考
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1767年回帰 8.2749 m/s 0.0004229AU 2001/11/18 10:15 (ヨーロッパの流星)
1866年回帰 13.74144 m/s -0.0002415AU 2001/11/18 18:11 (アジアの流星)
上記値はダストトレイルの計算結果を公開されている佐藤勲氏の計算結果とだいたいあっていると思います。
今回使用したソフトを参考までに添付します。
55P/Tempel-Tuttle 彗星ダスト(1866年放出)の計算ソフトのC言語ソース:
(1767年については初期設定関数 CDINI_file()を修正ください。)
adams5_1.0.zip
注:windows上のCコンパイラ(VC等)でコンパイルください。
JPL/NASAのDE431のファイル(lnxm13000p17000.431)がほかに必要です。
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