**************************************************************************  日食経路プログラム EMAP.EXE ドキュメント **************************************************************************                     EMAP.EXE Ver. 2.32 1996.04.08                       Copyright (C) 1993-6 客星                         ( Nifty-Serve I.D. GAH02017)    1.概要 EMAP.EXEはベッセッル要素を基に日食の経路を地球儀上に表示するソフトウエアで す。具体的には皆既中央線、南北皆既限界線、日出日没限界線、日出日没時の食最 大線、南北日食限界線をサポ−トし、時間の経過に沿って各線を点で描きます。ま たアジア及びヨ−ロッパについては古天文用に地図を拡大し表示するモ−ドを用意 しました。その他のパラメータとして、サロス番号、最大食時間場所、半影及び本 影接触開始終了時間等も表示します。 地球儀表示後にはその日食における特定の場所での日食開始終了時刻及び最大食の 時間・食分及びその進行状況を表示出来ます。 また一般の地図上に簡単に皆既線が引けるように、経度をパラメータとした皆既の 北限、中央、南限を計算するモードも用意しました。 EMAP.EXEの名前から分かりますように地球儀の表示、地図デ−タ及び地球儀への表 示は若浦 力(PFB02336)さん作成GMAPプログラムのソ−スをほとんどそのまま 使用させていただいています。 描画時間はベッセル要素ファイル(アスキー形式)からの読み取り時間と計算表示 時間の和になりますが、386+NDPを使用し0.1分間隔で使用した場合が一 番きれいに仕上がります。286/V30では1分ぐらいで使って下さい。 なお、ファイルサイズの関係で本リリースでは1951年から2200年迄の全日 食及び古代の有名な日食のベッセル要素のみを提供します。尚、提供した古代日食 の内容はECLIPSE.CAT を参照下さい。また古代日食の計算は使用軌道要素、デルタ Tの値等で多分に違ってきますのでEMAPでの結果が当然ながら絶対のものでは ありません。 ベッセル要素計算の精度を向上させた為、1993年にFSPACEに登録したベ ッセル要素とは若干値が異なります。現代の日食の計算結果で数秒の差です。 ベッセル要素はBC3000年からAD4000年までの計算しており一部分は FSPACE LIB2に登録予定です。 このプログラムは一般に入手可能な軌道要素及び計算方法にてどの程度の日食計算 結果が得られるかを示すものでもあります。このプログラムが日食に関心のある人 の御参考になれば幸いと思います。 1.1 プログラム作成環境とマシン動作環境 1)PC98用プログラム PC98用プログラムはターボC VER.2.0で記述しコンパイルしました。 動作を確認したハードウエアは以下のとおりです。  PC−9801RA その他の機種については不明です。(古い機種はグラフィックの関係で動かない可 能性があります。また、アナログカラー16色/グラフィック2画面を前提にして おり、デジタルRGBはサポートしていません。) ************************************************************************** * 注意事項: * * * * 一部のパソコンではEMAPを2度目に起動させた場合に表示が異常になる * * 場合があるようです。その場合はWindowsのDOSの窓で起動する様 * * にして下さい。 * * * ************************************************************************** 2)IBM互換機用プログラム IBM互換機用プログラムは TURBO C++ VER.2.0で記述しコンパイルしました。 動作を確認したハードウエアは以下のとおりです。  GATEWAY2000 486DX2/50E その他の機種については不明です。グラフィックについてはTURBO C++のEGAVGA.BGI をオブジェクで組み込んでいますが、確認はVGAモードしかしておりません。 またDOS/Vモードはサポートしていません。但し、DOS/V上の日本語版 Windows3.1のDOSのウインドウで動作させることは可能です。 1.2 バージョンアップ内容    バージョン2.20から2.32へのバージョンアップでは次の機能を追加修正しま した。  1)日食計算年代範囲の拡大    日食計算範囲をBC3000年からAD4000年迄に拡大しました。これ    により別途提供予定のベッセルファイルと合わせ記録に残る全ての日食の検    証が可能となりました。  2)デルタTの計算式の変更    日食計算範囲拡大に伴い古代及び未来のデルタTの計算式を改訂しました。  3)ベッセル要素精度UP    ベッセル要素計算式を見直し精度をUPしました。近代の日食計算値の精度    がUPしています。  4)ファイル出力    ・皆既帯線を「地図をください」フォーマットで出力可能となりました。    ・"LINE"での皆既帯線をファイル出力するようにしました。  5)地方標準時での時間表示    特定の場所での日食状況表示で地方標準時での時間表示を追加しました。  6)サロス番号での検索    サロス番号にての検索が可能となりました。 2.リリースファイル内容および使用方法 2.1 通常(EMAP****.LZH)リリースの場合。 EMAP****.LZHを解凍すると以下のファイルができます。 1) README.EMA 注意事項を書いたファイル 2) EMAP.EXE 実行ファイル プログラム本体 3) EMAP.DOC 本ドキュメントファイル 4) ECLIPSE.CAT 本リリースでサポートする古代日食についての説明 5) EC****.PRN 日食の時代別ベッセル要素 6) ECHEAD.PRN 「地図を下さい」フォーマットでのヘッダファイル 7) LOCATION.JPN 都市情報ファイル(PC98用ソフトの場合) LOCATION.ENG 都市情報ファイル(IBM互換起用ソフトの場合) 注意: EXEファイルとPRN及びJPNファイルは同じディレクトリに置いて下さい。 3.起動および使用方法 3.1 起動 1)日食経路のファイル書き込み無しの場合   >EMAP.EXE↓ で起動します。   *.PRNのファイルがあるディレクトリにて起動して下さい。   パラメータ設定画面が現れます。 2)日食経路のファイル書き込みありの場合   >EMAP.EXE ディレクトリ↓ で起動して下さい。   例えばA:\ASTRO\EMAPのディレクトリにファイルを出力させたい場合   >EMAP.EXE A:\ASTRO\EMAP↓   で起動してください。   *.PRNのファイルがあるディレクトリにて起動して下さい。   パラメータ設定画面が現れます。 3.2 パラメータ設定画面 DISPLAY TYPE :通常”0”(COLOR)を入力下さい、ラップトップの 液晶の場合”1”(B/W)で鮮明に見えます。カラーC RTで”1”を設定すると黄色で日食線を描きます。 その他”2”−”4”の表示方式があります。 8色表示の場合は”2”を選んで見て下さい。          ”3”は経度緯度線が30°間隔になります。  また”4”では経緯度線が表示されません。 DISPLAY STEP :日食線を表示する間隔を設定します。日食線は正確には点 で表示しています。386+NDPで0.1分、286で 1分の設定が我慢の限度と思います。 DISPLAY MAP   :”0”では地球儀上に日食線を表示します。 ”1”ではアジアの拡大地図上に日食線を表示します。 ”2”ではヨーロッパの拡大地図です。 ”3”では任意の位置の拡大地図を表示します。    LON:中心の経度(-180から+180度)を入力して下さい。 LAT:中心の緯度(-90 から +90度)を入力して下さい。 MAG:拡大率を入力して下さい。MAG=1 がアジアの拡大率   と同じです。 例えば日本を中心に表示させたい場合 LON=135,LAT=35, MAG=2を入力下さい。 なお表示部分を拡大しているだけですので表示時間は地球儀全 体を描いた場合と変わりません。 日食選択方法  :”0”全ての日食を表示          ”1”日食タイプでフィルターをかけます。          各日食のタイプの日本語名(英語名)は以下です。          1.部分日食(Partial Eclipse)          2.皆既日食(Central Total Eclipse)          3.金環日食(Central Annular Eclipse)          4.金環・皆既日食(Annular-Total Eclipse)          5.中央線の無い皆既日食(Non Central-Total Eclipse)          6.中央線の無い金環日食(Non Central-Annular Eclipse) 7.部分日食以外(2-6)          ”2”観測地と食分でフィルターをかけます。          まず食分、次に観測地を入力下さい。観測地の食分及び太陽高          度が地球儀右下に表示されます。太陽高度は多めに−15°ま          で許容していますので詳しい状況は”各地の食状況”ルーチン          で見て下さい。          ”3”サロス番号でフィルターをかけます。          サロス番号を入力下さい。次に入力した年月から400年先ま          での間で最初にサロス番号が同じ日食を表示します。          "NEXT"で次のサロス番号が同じ日食を表示します。 3.3 年代設定画面 YEAR :表示したい日食の起きた年を入力下さい。 紀元前の年代については古天文学(天文年代学)では年代の連 続性が取れるようにBC1年を0年としそれ以前もBC.N年 を−(N−1)年と表示します。これで例えばAD10年から BC10年(−9年)まで何年あるかとかは、10−(−9) =19で計算できます。 例えばBC100年は”−99”を入力下さい。 MONTH :表示したい日食の起きた月を入力下さい。 尚、入力した年月に日食が無い場合は、入力した年月を越えて間近の日食が表示さ れます。また2000年7月の様に同じ月に2回の日食がある場合、月の後半にあ る日食を見る為には7.5とか小数点以下を付けて入力下さい。 3.4 地球儀/地図表示画面 まず最初に入力した年月の日食が表示されます。 緯度経度の線は"DISPLAY TYPE"が"0","1","2"では15°間隔(時差1時間)、緯 度の線は10°間隔です。 ・画面下に以下のファンクションキーの表示が出ます。  ”PLACE ”キー :特定の場所での日食状況が表示出来ます。           (3.5参照)   ”LINE ”キー :経度をパラメータに皆既線の北限中央南限を計算します。           起動時に書き込みディレクトリを指定した場合のみファイ           ル書き込みが有効となり、結果は"CENTER.PRN"ファイルに           出力されます。           (3.6参照)  ”MAP ”キー :特定地域の食状況を計算後地球儀画面に戻るキーです。           (IBM版では再度計算して描画します。) ”SAVE ”キー :「地図をください」フォーマットで日食経路をファイル出力           します。ファイル名は"YYYYMM.LLM"です。           このキーは起動時に書き込みディレクトリを指定した場合の           み有効となり表示されます。           記録間隔は最初のメニューのSTEPで入力した間隔です。 実際にEMAPで作成した"YYYYMM.LLM"ファイルを「地図を ください」で表示する場合には「地図をください」のファイ ル"ATLAS.THG"に以下の定義を追加下さい。           90 poly Eclipse_Lim 30000 6 0xffff           91 poly Eclipse_Cen 30000 3 0xffff           92 string Eclipse 30000 0 10 ”STOP ”キー :日食線を描いている時にストップ出来ます。          自動前進(AT)機能のストップもこのキーです。 ”AT/STR”キー :自動前進表示が出来ます(デモ用)。日食描画を"STOP"キー          で止めた時のリスタートもこのキーです。ただ描画を途中で          STOPした画面でのリスタートは出来ません。 ”NEXT ”キー :表示した同じモードの次の日食が表示されます。  ”YEAR ”キー :年代設定画面に戻る。同じモードで別の日食を表示します。  ”MODE ”キー :モード設定画面に戻る。  ”END ”キー :プログラム終了。 3.5 特定の場所での日食状況表示 あらかじめいくつかの地点が登録されていますので、登録されている場所でいい場 合にはその地点の番号を入力ください。登録されていない場所の場合には”99” を入力し緯度経度を度表示にて入力下さい。尚、東経が+、西経が−、及び北緯が +、南緯が−です。 太陽高度(SAN ALT)がマイナスの場合実際には見えません。 各地での太陽の欠け具合が表示されます。最大食の状態と15分間隔での地上から 見た食の状況及び食分が表示されます。また日の出/日没で始まる/終わる場合は その時の状態も表示します。なお画面の上方向が天頂です。太陽の北極方向は黄色 い線で示します。”STOP”キーで停止し、”AT/STR”で再開します。そ の他のキーは効きません。 なおPmは太陽の中心から北極方向の線から左回りに測った太陽の中心から月の中心 を結ぶ線迄の角度です。Zは天頂から太陽の中心から月の中心を結ぶ線迄の角度で す。 3.6 経度をパラメータとした皆既北限、中央、南限の計算 表示したい部分の経度(西経が+)及び表示ステップ(度)を入力下さい。 入力経度から10区間の、皆既北限、中央、南限を計算します。 ただし、特殊な日食には対応していません。特殊な日食とは例えば、極地での皆既 日食のように同じ経度に2箇所の皆既中央点があるような日食や、皆既中央線の無 い日食。北限あるいは南限だけが計算不能の場合は経度が100度と表示される場 合もあります。 3.7 その他注意事項 ・地方時間(LMT)は(UT+観測値/15°)で計算していますので、JST  の様な標準時ではありません。注意してください。 ・地方標準時は(UT+INT(観測値/15°+0.5))で計算していますの  で、実際に使用されている標準時とはずれる場合があります。 ・入力値のチェックは甘いので、注意して下さい。 入力は数字のみです。 ・”^C”で終了することや、小プロセスとして動作させるのも避けて下さい。 4.計算式・データの出典及び参考文献 4.1 ベッセル要素 太陽の位置計算はJ.MEEUS「ASTRONOMICAL ALGORITHMS」のVSOP理論に基づく位 置計算法を使用。月の位置計算はM & J CHAPRONTの「LUNAR TABLE AND PROGRAMS F ROM 4000BC TO AD8000」のELP2000−85に基づく位置計算法により計算し ています。なお月の計算はAD500年までを「FULL PRECISION」それ以前を「MI DDLE PRECISION」で計算しています。 これらで求めた太陽と月の位置要素から、US NAVAL OBSERVATORY「EXPLANATORY SU PPLEMENT TO THE ASTRONOMICAL EPHEMERIS,1974版」 に記載の計算方式にてベッセ ル要素を計算しています。 ただK等の日食定数は J.MEEUS「ELEMENTS OF SOLAR E CLIPSES:1951-2200」と同じ値を使用しています。 尚、EMAPの計算値はF.ESPENAK「FIFTY YEAR OF CANON OF SOLAR ECLIPSES:198 6-2035」と較べ同じデルタTの値を使用した場合、極地方の日食を除き、だいたい 差が開始終了時刻で数秒、経路の位置(緯度・経度)で1分程度です。 ベッセル要素ファイルの形式は「ELEMENTS OF SOLAR ECLIPSES:1951-2200」と同じ です。したがって「ELEMENTS・・・」に別売り添付のベッセル要素を使いたい場合 はファイルのヘッダを削除し、ファイル名をECLIPSE.ELSからEMAP.EXE用にECAD22. PRNと変更するだけでそのまま使用出来ます。 尚、J.MEEUSのベッセル要素の方が 「FIFTY YEAR・・・」に近い値が出ます。より精確な値が必要な方は「ELEMENTS・ ・・」のデータを使って下さい。 4.2 EC****.PRNファイルにあるベッセル要素の説明 各日食は各3行よりなります。詳しくは「ELEMENTS・・・」を参照下さい。 ・1行目 YEAR,MONTH,DAY :日食の最大食時の日付(UT)です。 TYPE :日食のタイプです。         1:部分日食(Partial Eclipse)         2:皆既日食(Central Total Eclipse)         3:金環日食(Central Annular Eclipse)         4:金環・皆既日食(Annular-Total Eclipse)         5:中央線の無い皆既日食(Non Central-Total Eclipse)         6:中央線の無い金環日食(Non Central-Annular Eclipse) MAG :部分日食の最大食分 γ       :基準面にて月の影の中心より地球の中心迄の最短時の距離。         マイナスは地球の中心より南を通ったことになります。   JD       :上記γ(最大食)に於いてのユリウス日(UT)。 K       :2000年1月6日を0とした、新月の回数。 SAROS     :サロス番号。         アルゴリズムが良く分からないので、V.D.BERGH「PERIODICI         TY AND VARIATION OF SOLAR(AND LUNAR) ECLIPSES」、「ELE         MENTS・・・」及びJ.MEEUS「CANON OF SOLAR ECLIPSES(1898         -2510)」より逆算してあります。 T0 :以下のベッセル要素の基準t=0となる時間(ET)。 ・2行目 X0,X1,X2,X3 : X要素、X = X0 + X1*t + X2*t*t + X3*t*t*tで計算される。 Y0,Y1,Y2,Y3 : Y要素、Y = Y0 + Y1*t + Y2*t*t + Y3*t*t*tで計算される。 D0,D1,D2 : D要素、D = D0 + D1*t + D2*t*t で計算される。 ・3行目 M0,M1 : M要素、M = M0 + M1*t で計算される。 L10,L11,L12 : L1要素、L1=L10 +L11*t +L12*t*t で計算される。 L20,L21,L22 : L2要素、L2=L20 +L21*t +L22*t*t で計算される。 tan f1 : tan f1要素 tan f2 : tan f2要素 4.3 日食各種線の計算 「EXPLANATORY ・・・,1974版」により計算しています。なお「EXPLANATORY ・・ ,1992版」では演習問題が削除されているので、プログラムを作るには若干難があ ります。 また以下の線はサポートしていません。 ・特定時間における食最大線 同じく 「EXPLANATORY・・・」に計算アルゴリズムの記載はあります。しかし、こ のプログラム自体で時間の経過での変化が分かるのでサポートしていません。個々 の場所については以下の特定の場所での食状況で確認下さい。 ・同じ食分の線 「ELEMENTS・・・」に経度を基準とした計算アルゴリズムがあります。ただ時間を 基準としたものがいまのところ不明な為サポートしていません。上記特定時間にお ける食最大線上で特定の食分に漸近させるという手もありそうですが計算時間がか かりそうです。 4.4 特定の場所での日食状況 「ELEMENTS・・・」によります。また日の出、日の入り(-0.8°で計算)で終了す る場合は、その時刻及びその時の食分も表示します。 また日食状況の作図には長谷川一郎著「天文計算入門」も参考にしました。 4.5 経度をパラメータとした皆既北限、中央、南限の計算 「ELEMENTS・・・」により計算しています。 4.6 デルタT EMAPでは主にF.R.STEPHENSONさんが算出した値を使用しています。 ・1620年から2000年迄。 2000 >= year >= 1620 :「ASTRONOMICAL ALMANAC」のテーブルに載る値の補間 ・1620年以前はF.R.STEPHENSONさんが1986年に「ATLAS OF HISTORICAL MAPS,EAST ASIA 1500BC-AD1900」で使用した以下の値を使用。 1620 > Year >= 948 : 50.6 + 67.50*t + 22.5*t*t (1) 948 > Year >= -175 : 2715.6 + 573.36*t + 46.5*t*t (2) F.R.STEPHENSONさんはもともと古代日食等の記事を基にデルタTを算出している為 添付の「古代日食のカタログ」に記載の様によく記事と合います。 ・−175年以前はウガリット日食を考慮し K.M.Borkowskiが1988年に発表し  た以下の式をベースにF.R.STEPHENSONと合わせた結果を使用しています。 K.M.Borkowskiの式= 35.0*(t+3.75)*(t+3.75) +40.0 (3) (月の軌道に対し) EMAPに使用の式 -175 > Year : 1078.3 + 341.5*t + 39.3*t*t (4) それぞれの式でのデルタTの値を参考迄に添付します。 year (1) (2) (3) (4) 1600 140.6 1166.2 66.4 341.1 1400 455.6 949.4 276.4 444.1 1200 950.6 1104.7 781.7 861.5 1000 1625.6 1632.0 1582.4 1593.3 800 2480.6 2531.3 2678.4 2639.5 600 3515.6 3802.6 4069.8 4000.1 400 4730.6 5445.8 5756.6 5675.1 200 6125.6 7461.1 7738.7 7664.5 0 7700.6 9848.4 10016.2 9968.3 -200 9455.6 12607.7 12589.0 12586.5 -400 11390.6 15739.0 15457.2 15519.1 -600 13505.6 19242.2 18620.8 18766.1 -800 15800.6 23117.5 22079.7 22327.5 -1000 18275.6 27364.8 25834.0 26203.3 -1200 20930.6 31984.1 29883.6 30393.5 -1400 23765.6 36975.4 34228.6 34898.1 -1600 26780.6 42338.6 38869.0 39717.1 -1800 29975.6 48073.9 43804.7 44850.5 -2000 33350.6 54181.2 49035.8 50298.3 -2200 36905.6 60660.5 54562.2 56060.5 -2400 40640.6 67511.8 60384.0 62137.1 -2600 44555.6 74735.0 66501.2 68528.1 -2800 48650.6 82330.3 72913.7 75233.5 -3000 52925.6 90297.6 79621.6 82253.3 ・2000年以降 2000年以降はF.R.STEPHENSONさんが1982(A)、84(B)、86(C) に発表した1600年以前の以下の式を適用するのが通常です。しかし、2000 年代前半はあまり合わないので、2307年までは1910年から1990年迄の 値を多項式近似した(D)の式をEMAPでは使用しました。 2307年以降は (B)の式を使用しています。それぞれの式でのデルタTの値を参考迄に添付しま す。 (A) : -15+32.5*(year-1810)*(year-1810)/10000 (B) : 25.5*(year-1800)*(year-1800)/10000 = 102.0 + 102.0*t + 25.5*t*t (C) : 22.5*(year-1850)*(year-1850)/10000 = 50.6 + 67.50*t + 22.5*t*t (D) : 64.7 + 86.8*t + 34.4*t*t year (A) (B) (C) (D) 2000 102.3 102.0 50.6 64.7 2200 479.3 408.0 275.6 375.9 2400 1116.3 918.0 680.6 962.3 2600 2013.3 1632.0 1265.6 1823.9 2800 3170.3 2550.0 2030.6 2960.7 3000 4587.3 3672.0 2975.6 4372.7 3200 6264.3 4998.0 4100.6 6059.9 3400 8201.3 6528.0 5405.6 8022.3 3600 10398.3 8262.0 6890.6 10259.9 3800 12855.3 10200.0 8555.6 12772.7 4000 15572.3 12342.0 10400.6 15560.7 ・月の軌道に対するデルタT ただ月の軌道要素に対するデルタTは「LUNAR TABLE・・ 」が-23.8946"/cy2の潮 汐パラメータを使用しているので「ASTRONOMICAL ALMANAC」 に記載の以下の補正 を全年代に対し行っています。 デルタT補正= -0.000091(-23.8946+26)(year-1955)^2             = 0.39 + 1.72*t + 1.92*t*t 4.7 EMAPの特性 古い日食についてEMAPはデルタTの計算方式等からF.R.STEPHENSON AND M.A. HOULDEN著「ATLAS OF HISTORICAL MAPS,EAST ASIA 1500BC-AD1900」に近い値が出 ます。 J.MEEUSさんは「CANON OF SOLAR ECLIPSES(1898-2510) 」の中でオポルッツアの日 蝕宝典とのγの値の比較をしています。以下にEMAPを含めた表を添付します。 EMAPではJ.MEEUSさんの「CANON・・・」と逆の特性を示しています。 年 月 TYPE オポルッツア(A) J.MEEUS(B) EMAP(C) (A-B) (A-C) -1201 7 1 -1.2613 -1.2787 -1.2514 0.0174 -0.0099 -1200 1 -1 0.6845 0.7083 0.6750 0.0238 -0.0095 -1200 6 1 -0.5409 -0.5597 -0.5298 0.0188 -0.0111 -1003 6 -1 -0.7249 -0.7115 -0.7333 0.0134 -0.0084 -999 3 -1 -1.1568 -1.1410 -1.1641 0.0158 -0.0073 -997 8 1 -0.1954 -0.2108 -0.1869 0.0154 -0.0085 -801 1 1 0.2757 0.2657 0.2833 0.0100 -0.0076 -800 12 1 -1.0824 -1.0930 -1.0760 0.0106 -0.0064 -799 6 -1 0.9355 0.9467 0.9279 0.0112 -0.0076 -600 3 1 -0.7536 -0.7562 -0.7472 0.0026 -0.0064 -600 9 -1 0.7374 0.7454 0.7329 0.0080 -0.0045 -598 8 -1 -0.6944 -0.6866 -0.7019 0.0078 -0.0075 -401 7 1 -0.9069 -0.9076 -0.9005 0.0007 -0.0064 -400 1 -1 0.1460 0.1485 0.1408 0.0025 -0.0052 -400 7 1 -0.1073 -0.1085 -0.1009 0.0012 -0.0064 -200 10 1 0.8474 0.8470 0.8502 0.0004 -0.0028 -199 3 -1 1.1892 1.1890 1.1858 -0.0002 -0.0034 -199 8 1 -1.2077 -1.2047 -1.2015 -0.0030 -0.0062 -1 2 1 0.7918 0.7958 0.7956 -0.0040 -0.0038 1 12 1 -0.0437 -0.0404 -0.0394 -0.0033 -0.0043 2 5 -1 -0.4130 -0.4181 -0.4176 -0.0051 -0.0046 199 10 -1 0.9714 0.9650 0.9680 -0.0064 -0.0034 200 4 1 -0.3203 -0.3131 -0.3169 -0.0072 -0.0034 200 9 -1 0.2792 0.2724 0.2738 -0.0068 -0.0054 398 2 -1 1.0969 1.0877 1.0948 -0.0092 -0.0021 402 5 1 -0.7833 -0.7728 -0.7802 -0.0105 -0.0031 402 11 -1 0.4932 0.4862 0.4918 -0.0070 -0.0014 598 11 1 -0.0295 -0.0209 -0.0271 -0.0086 -0.0024 599 4 -1 -0.5089 -0.5176 -0.5114 -0.0087 -0.0025 602 2 -1 -0.0751 -0.0846 -0.0779 -0.0095 -0.0028 799 12 1 -0.9370 -0.9284 -0.9352 -0.0086 -0.0018 800 6 -1 0.6945 0.6852 0.6925 -0.0093 -0.0020 800 12 1 -0.2324 -0.2241 -0.2307 -0.0083 -0.0017 1000 4 1 0.1873 0.1960 0.1891 -0.0087 -0.0018 1000 9 -1 -0.1062 -0.1141 -0.1079 -0.0079 -0.0017 1001 3 1 0.9757 0.9845 0.9774 -0.0088 -0.0017 1198 8 1 -0.6188 -0.6115 -0.6176 -0.0073 -0.0012 1199 1 -1 0.0043 -0.0024 0.0030 -0.0067 -0.0013 1204 10 -1 -1.2640 -1.2703 -1.2653 -0.0063 -0.0013 1399 5 -1 -1.0029 -1.0080 -1.0037 -0.0051 -0.0008 1399 10 1 1.0249 1.0297 1.0255 -0.0048 -0.0006 1400 3 -1 1.0065 1.0000 1.0055 -0.0065 -0.0010 1599 7 -1 1.0952 1.0922 1.0947 -0.0030 -0.0005 1600 1 1 -0.4627 -0.4595 -0.4624 -0.0032 -0.0003 1600 7 -1 0.2806 0.2779 0.2801 -0.0027 -0.0005 1798 5 1 -0.8748 -0.8746 -0.8746 -0.0002 -0.0002 1803 8 -1 -0.0049 -0.0045 -0.0050 0.0004 -0.0001 1804 2 1 0.7050 0.7058 0.7051 -0.0008 -0.0001 4.8 古代都市データ 以下の都市については、当初の都市ファイルに登録されており、アジア/ヨーロッ パ等の拡大地図表示時に点で表示されます。 なおデータは主に「古天文学の道」より引用しています。 またヨーロッパについては、P.V.NEUGEBAUER「ASTRONOMISCHE CHRONOLOGIE」付表 にある都市リストも参考にしました。      都市     経度(゜)     緯度(゜) 日本   飛鳥     135.8        34.5    : 710年以前  奈良     135.8        34.7    : 710ー794 年      京都     135.73       34.98   : 794-1868年      鎌倉     139.57       35.32   :1192-1353年  江戸/東京  139.75       35.65   : 1600年以降 中国  曲阜     117.05       35.65   :春秋 魯都      洛陽     112.4        34.8            長安 108.9 34.3      北京 116.4 39.9  南京 118.8 32.05 朝鮮  金城(慶州) 129.2 35.8 :新羅都        所夫理(扶余)126.9 36.3 :百済都   平城 125.8 39.0 :高句麗都 ヨーロッパ  カルタゴ 10.3 36.8      ローマ    12.5        41.9            シラクサ 15.2 37.1  アテネ    23.7        38.0            ヘレスポント 26.4 40.2 :チャナッカレ    アレキサンドリア 29.9 31.2 メンフィス  31.2        29.9    :カイロ   テーベ    32.6        25.7            エルサレム 35.2 31.8 ウガリット 35.78 35.62  ニネベ    43.2        36.3            バクダッド   44.4 33.3  バビロン 44.5 32.5  ウル 46.2 31.0 4.9 その他参考文献 プログラムの構想/作成/検証に以下の資料を利用しました。 また一部の記録を添付の「古代日食のカタログ」に引用しました。 ・斉藤国治著「古天文学」1989、恒星社厚生閣。       「古天文学への道」1990、原書房。       「古天文学の散歩道」1992、恒星社厚生閣。        その他「科学史研究」の諸論文。 ・渡邊敏夫著「日本朝鮮中国・日食月食宝典」1979、雄山閣。       「春秋の日食」、「現代の天文学」1958、恒星社厚生閣。 ・神田茂 著「日本天文史料」1935、恒星社。 ・長谷川一郎著「天文計算入門」1986、恒星社厚生閣。 ・J.MEEUS著「ASTRONOMICAL ALGORITHMS」1991,Willmann-Bell,Inc.       「ELEMENTS OF SOLAR ECLIPSES:1951-2200」1989,Willmann-Bell,Inc. 「CANON OF SOLAR ECLIPSES(1898-2510) 」1966,PERGAMON PRESS. ・H.MUCKE and J.MEEUS著「CANON OF SOLAR ECLIPSES(-2003 to 2526) 」1992,2nd. Astronomisches Buro, Wien. ・FREAD ESPENAK 著「FIFTY YEAR CANNON OF SOLAR ECLIPSES:1986-2035 」1987, NASA(SKY PUBLISHING CORPORATION). ・M & J CHAPRONT著「LUNAR TABLE AND PROGRAMS FROM 4000BC TO AD8000」1991, Willmann-Bell,Inc. ・US NAVAL OBSERVATORY編     「EXPLANATORY SUPPLEMENT TO THE ASTRONOMICAL EPHEMERIS,1974版」 ・G.V.D.BERGH著「PERIODICITY AND VARIATION OF SOLAR(AND LUNAR) ECLIPSES」 1955,Netherlands. ・F.R.STEPHENSON AND M.A. HOULDEN著「ATLAS OF HISTORICAL MAPS,EAST ASIA 1500BC-AD1900」1986, Cambridge University Press. ・F.R.STEPHENSON著「APPLICATION OF EARLY ASTRONOMICAL RECORDS」1978, Oxford University Press. ・T.R.OPPOLZER著「CANON DER FINSTERNISSE」1887, Wien. ・T.R.OPPOLZER著「CANON OF ECLIPSES」Reprint,1962,Dover Publication,Inc. ・F.K.GINZEL 著「SPEZIELLER KANON DER SONNEN UND MONDFINSTERNISSE」 1899,Berlin MAYER & MULLER. ・W.CHAUVENET 著「SPHERICAL AND PRACTICAL ASTRONOMY」5th ed., J.B.LIPPINCOTT & CO. Version 2.31(PC98版&IBM版)のデルタT検討にあたり参考にした文献 特にウガリット日食関連資料 ・F.R.STEPHENSON「THE EARLIEST KNOWN RECORD OF SOLAR ECLIPSE」 NATURE,VOL228, 14 NOV. 1970 ・J.F.A.SAWYER & F.R.STEPHENSON「A TOTAL ECLIPSE OF THE SUN OBSERVED IN ANCIENT UGARIT」BULLETIN OF THE SCHOOL OF ORIENTAL AND AFRICAN STUDIES, VOL.XXXIII PART.3 1970 ・T. DE JONG & W.H.VAN SOLDT「THE EARLIEST KNOWN SOLAR ECLIPSE RECODE REDATED」 NATURE,VOL338, 16 MARCH 1989 ・CHRISTOPHER B.F. WALKER「ECLIPSE SEEN AT ANCIENT UGARIT」 NATURE,VOL338, 16 MARCH 1989 ・K.M.BORKOWSKI 「ELP2000-85 AND THE DYNAMICAL TIME - UNICERSAL TIME RELATION」 ASTRON.ASTROPHYS. 205,L8-L10,1988 5.補足事項 本プログラムは無保証です。本プログラムの使用によっていかなる損害が生じても いっさい責任は負えません。しかしながら、バグ・改善要望につきましては出来る だけ対応したいと思いますのでお知らせください。 他のNETへの転載、再配布等は自由に行って下さい、特に制限しません。ただし 営利目的(無料配付を含む)での本プログラムの利用は禁止します。また著作権は 放棄していません。 IBMコンパチ版とソースを共用している為、英語の表現が多くなっています。 PC98版では地球儀を描いている最中に”ゴミ”が出ることがあります(当方所 有のPC−9801RAにて)、しかしIBM版では発生しません。原因は分かり ませんがコンパイラかハード固有の問題と思いますので目をつぶって下さい。 6.本プログラムの履歴  1992年10月18日 version 1.0 完成  1992年10月25日 version 1.1 作成    ・特定の場所における食状況表示機能を追加。  1992年11月 1日 version 1.2 作成    ・暫定リリース版(ドキュメント等追加)  1992年12月 1日 version 2.0 作成/ファースト公開版の予定だった。    ・経度をパラメータにした皆既南北限の計算機能を追加。    ・1620-2500年のデルタT計算方式見直し及びデータ再計算。    ・若干の地図データ修正(カルフォルニア/オーストラリア)及び追加(八丈島/小笠原)  1992年12月 3日 version 2.01 作成/ファースト公開版    ・ターボC BGI(PC98/PC98GRCG/PC98EGC)ファイルの追加。 ・プログラム終了方法の修正。    ・地球儀表示方式追加。 1993年 1月 1日 version 2.10公開    ・ファンクションキーでの入力とした。      その他操作性のUP項目は、     ・前進機能を追加。      ・自動前進機能を追加。      ・ストップ/リスタート機能を追加。      ・地球儀画面再表示機能を追加。    ・選択表示機能を追加。      ・日食タイプによる選択      ・観測地/食分による選択      ・サロスによる選択    ・各地の食状況で太陽の欠け具合の表示を追加。    ・皆既食と金環食の皆既線の色を替えた。    ・その他マイナーチェンジ      ・Display Type”3”の緯度経度線を30°間隔に変更。      ・Display Type”3”と”4”の各日食線の色を”0”と同じにした。    ・バグ修正      ・EMAP(VER.2.0 )の計算方法では1512年4月16日の日食の       計算で死んでしまう障害を修正した。      ・EMAPベッセルデータ近世編(EMAPBE02.LZH)の1582年6月20日の       日食データ不正を修正。 1993年 1月18日 version 2.11公開(PC98版&IBM版)    ・誤入力対策    ・「日食タイプ」の表題の修正。    ・太陽の欠け具合の表示色の変更。停止機能の追加。    ・エレサレムの緯度が修正。その他不明確な年代表示を削除し、     IBM版ではスペルミスを数箇所修正しました。    ・PC98版とIBM版のソースを共通化。 1993年12月 1日 version 2.20公開(PC98版&IBM版)    ・都市情報をファイル登録とした。    ・任意の位置を拡大表示出来るようにした。    ・各地の日食状況表示での食分の表示。 ・誤字脱字修正(金冠→金環、Annualar→Annular等)。 ・日食データ表示欄の体裁を整えた。 1995年11月28日 version 2.3β1(PC98版)    石井馨氏の依頼にて作成。    ・皆既帯線を「地図をください」フォーマットでファイル出力可能とした。    ・"LINE"での皆既帯線をファイル出力するようにした。 1996年 3月13日 version 2.31(PC98版&IBM版)    ・日食計算年代範囲の拡大(BC3000年からAD4000年迄)    ・デルタTの計算式の変更    ・ベッセル要素精度UP    ・地方標準時での時間表示の追加    ・サロス番号での検索の改良 1996年 4月 8日 version 2.32(PC98版&IBM版)    ・バグ修正(BC1200年でファイル処理が連続していなかった。) 7.おわりに  本プログラムのベースとなった地球儀プログラム(GMAP)を作成され、ソー  スを公開されてている、若浦 力(PFB02336)さんに感謝致します。  「古天文学」、「古天文学の道」を始め斉藤国治先生の著書からは日食記事やデ  ータをたくさん引用させていただいています。この場にて御礼申し上げます。  また、EMAPをダウンロードされた皆様、及びコメントを頂いたFSPACEの方々  にもお礼申し上げます。また御意見御感想をお待ちしております。