4. 彗星の軌道計算




 いよいよ数値積分による彗星の軌道計算ですが、まずは計算例の示めされているもので試算をやってみました。細かい計算まで記載されているものはあまり無いのですが「軌道計算テクニック」(地人書館)の3章摂動にある「1950VII アラン・リゴー彗星」を例として計算してみました。ただしこの例は分点が1950年で計算されているため使用する惑星/小惑星データもJ2000から1950Bに分点を変更するルーチンを使って変換しています。

 まず使う初期値は前回計算している以下の計算結果を使用します。
 「1950VII アラン・リゴー彗星」の計算例
GAUSS=0.017202099;
ECL=23.44579; //1950B
ORB[1]=2441047.5213;// 1971/04/06.0213 // T(TPASS) :近日点通過時刻
ORB[2]=328.9367; // ω(PERI/Somg) :近日点引数
ORB[3]=121.5554; // Ω(NODE/Omg) :昇交点黄経
ORB[4]=17.8336; // i (INC) :軌道傾斜角
ORB[5]=1.444535; // q (QDIS) :近日点距離
ORB[6]=0.59905; // e (ECC) :軌道離心率
EPOCH=2441040.5; //1971/03/30.0 // EPOCH :元期
計算結果
EPOCH=2441040.5000
CD[I][16][1]= 0.079694626566; CD[I][16][2]= 1.407213147898; CD[I][16][3]= 0.325773754846;
VL[I][16][1]=-0.017450661825; VL[I][16][2]=-0.000708005314; VL[I][16][3]= 0.004684579273;
AMASS[16]=0.0;


 「軌道計算テクニック」では上記初期値をもとに1978/ 3/ 8まで7年間5日から20日間隔で計算しその詳細手順が記載されています。ここでプログラムによる計算結果と「軌道計算テクニック」に載る計算結果をいかに示します。
 プログラムでは計算間隔や摂動対象惑星等を変化してみましたが、「軌道計算テクニック」で計算している同じ間隔で太陽/木星/土星の万有引力のみの条件で2〜3桁ぐらい一致という結果でした。「軌道計算テクニック」は使用している計算方法も違うのでこのぐらいの結果かなと思います。
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        x             y              z
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 N体計算プログラムの計算結果(@1978/ 3/ 8: JD= 2443575.5)
 ・ニュートン+相対性  0.125日間隔
  -0.6163592193615010, 1.2652976754944198, 0.4847066062906552
 ・ニュートン+相対性  5日間隔
  -0.6163588005733086, 1.2652978238411514, 0.4847065261442364
 ・ニュートンのみ(太陽・月・全惑星・小惑星)相対性無し  5日間隔
  -0.6163669237186518, 1.2652948864448814, 0.4847080659333203
 ・ニュートンのみ(太陽・木星・土星)相対性無し  5日間隔
  -0.6152739634888950, 1.2657684031246639, 0.4845107197207745
 ・ニュートンのみ(太陽・木星・土星)相対性無し  5/10/20日間隔
  -0.6152740117200585, 1.2657683727684212, 0.4845107256686155
 
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 「軌道計算テクニック」D.タタースフィールド(大西 洋訳)での計算結果
 ・ニュートンのみ(太陽・木星・土星)相対性無し  5/10/20日間隔
   -0.61726177,       1.26498690,       0.48486040
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(注:桁数は有効数字を表しているものではありません。)


「軌道計算テクニック」の計算ソフト(1950B):
n_berg2_1.0.zip
注:windows上のCコンパイラでコンパイルください。
JPL/NASAのDE431のファイル(lnxm13000p17000.431)がほかに必要です。


2014/09/12 Up

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