7. 軌道計算(2) 軌道要素の計算



 今回は2番目の軌道要素の計算です。
  @地心太陽座標の計算
  A軌道要素の計算
  B要素変化法による軌道要素の最適化
 計算例は引き続きサイディング・スプリング(C/2013A1)彗星です。

 計算内容の詳細は以下の本を参照下さい。
 ・「天体の軌道計算」中野主一著、誠文堂新光社(1992)
 ・「マイコン天文学 I」中野主一、恒星社厚生閣(1983)
 ・「天体軌道論」長谷川一郎、恒星社厚生閣(1983)

@軌道要素の計算
 軌道要素の計算は上記「天体軌道論」と「マイコン天文学 I」で説明されている方法で行います。
 1)楕円軌道 ⇒ ガウス・マートン法により一般軌道を計算
 2)放物線軌道⇒ オルバース法により放物線軌道を計算
 
 手順としては「ガウス・マートン法による一般軌道計算」では放物線軌道も計算できるので、まずは「ガウス・マートン法」で一般軌道を計算し、途中でエラーになった場合(e=999で終了)や離心率eが1に近い場合に続けて「オルバース法による放物線軌道計算」を行います。「マイコン天文学 I」によると放物線に近い場合には「オルバース法による放物線軌道計算」の方が精度が良いとあるのでこの方法をとっています。しかし、計算結果をみると「ガウス・マートン法」の方が良い場合もあるようです。しかし、続けて要素変化法による軌道要素の改良をしますのであまり気にする必要はないと思います。

 どちらの軌道計算も3個の観測結果を使用して計算します。当然ながらこの3個のデータは同一周期内(楕円軌道の場合、遠日点⇒近日点⇒遠日点まで)にあることが前提です。
通常は最初に読み込んだ観測データの最初、中間、最後の3個のデータを使用します。しかし、この計算例の場合もそうですが、解が出ない場合もありますので、その場合は3個のデータを適当に選んでやってみてください。(comet.cの103行〜111行目、ここはまだ自動化していません。)

A残差の計算
 プログラムでは次に、上記@で計算した軌道要素で残差(観測値−計算値=O-C、単位は秒)を計算しています。 残差が系統的で数百秒ぐらいであれば次の軌道改良で修正されるとおもいます。

B計算結果
  上記手順で計算したときのディスプレイ表示結果の後半がresults21.txtです。 今回の計算例では前半の観測データ(1番/300番/600番)を使用しているので後半の残差が大きくなっています。

軌道計算(1) 地心太陽座標の計算のC言語ソース:
(いずれUPする最終形を使用してもらった方が良いとは思いますが・・・・)
comet_v2.0.zip
注:windows上のCコンパイラ(VC等)でコンパイルください。
JPL/NASAのDE405のファイル(lnxp1600p2200.405)がほかに必要です。(ftp://ssd.jpl.nasa.gov/pub/eph/planets/Linux/de405/  参照)
"jpl_eph.c"の217行目の天体暦ファイルのディレクトリ/ファイル名は環境に合わせて修整ください。


2014/10/14 Up

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