7. 三段漏刻のシミュレーション




 ここでは3段の漏刻のシミュレーションを行い、2段の漏刻で誤差がどれだけ減少するかを検証します。

3段の漏刻のシミュレーション
 右図の内容でシミュレーションを行います。 4つの水槽の断面積は同じです。各水槽の出水口の直径は、 第1水槽が0.08cm、第2及第3水槽が0.1cmです。それぞれの水槽はあらかじめH1,H2及びH3の水位まで水が入っており、 第1水槽はその上に100cmの水があります。第2及び第3水槽の水位(h2/h3)の初期値は0mmです。

第3水槽の水位の計算
第1水槽の減水量q1(mm):q1=N/A*R1*d1*d1*root(h1+H1)*dt
第2水槽の減水量q2(mm):q2=N/A*R2*d2*d2*root(h2+H2)*dt
第3水槽の減水量q3(mm):q3=N/A*R3*d3*d3*root(h3+H3)*dt
従って、第2及び第3水槽の水位(h2/h3)は以下となります。
h2=h2+q1-q2
=h2+N/A*R1*d1*d1*root(h1+H1)*dt-N/A*R2*d2*d2*root(h2+H2)*dt
h3=h3+q2-q3
=h3+N/A*R2*d2*d2*root(h2+H2)*dt-N/A*R3*d3*d3*root(h3+H3)*dt

 この場合にH1とH2の初期水位は前のシミュレーションより、H1=117mm,H2=125mmと決まっているので、H3を変化させて24時間後に受水水槽の水位(Rh)が100cmになり、その時h3=0mm(24時間後の第1水槽の給水時に第2/3水槽の水位の調整が不要)になるのはH3=186mmとなりました。

 この時の誤差は約19分となり2段の場合の誤差39分に較べ誤差は約1/2に改善されていることになります。 またその場合の一時間毎の変化を下表に添付します。h3の値を見ると第3水槽の水位変化は3cmぐらいに収まっていることがわかります。

 

H3を求めるシミュレーションソフト:waterclock_07_1.c  

H3=186mmでのシミュレーションソフト:waterclock_07_2.c

シミュレーションソフトの計算結果)
時刻(h)h1(mm)h2(mm)h3(mm)Rh(mm)誤差(分)
0.0 1000.0 0.0 0.0 0.0 0.0
1.0 937.9 27.4 -5.1 39.8 2.6
2.0 877.6 50.0 -6.9 79.3 5.8
3.0 819.0 68.5 -6.3 118.8 9.0
4.0 762.2 83.5 -4.1 158.3 12.0
5.0 707.2 95.4 -0.8 198.2 14.5
6.0 654.0 104.4 3.1 238.5 16.5
7.0 602.5 110.9 7.3 279.2 17.9
8.0 552.9 115.1 11.6 320.4 18.6
9.0 505.0 117.3 15.7 362.0 18.7
10.0 458.9 117.5 19.6 404.1 18.2
11.0 414.5 116.1 23.0 446.5 17.1
12.0 371.9 113.0 25.8 489.2 15.6
13.0 331.2 108.6 28.1 532.2 13.7
14.0 292.1 102.8 29.6 575.3 11.5
15.0 254.9 96.0 30.5 618.6 9.2
16.0 219.4 88.0 30.5 662.0 6.8
17.0 185.8 79.2 29.8 705.3 4.4
18.0 153.8 69.5 28.2 748.5 2.2
19.0 123.7 59.1 25.7 791.4 0.3
20.0 95.4 48.1 22.4 834.1 -1.1
21.0 68.8 36.5 18.2 876.4 -2.0
22.0 44.0 24.6 13.1 918.2 -2.3
23.0 20.9 12.4 7.1 959.5 -1.7
24.0 0.0 -0.1 0.2 1000.1 -0.1
H1= 117.0 H2= 125.0 H3= 186.0最大誤差: 18.7(分)
d1= 0.080 d2= 0.100 d3= 0.100


2017/10/25 Up

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