古代の都城と古道を巡る旅 5日目:飛鳥・平城宮を巡る


 

 この日は車を出していただいて、楽ちんな飛鳥・平城京の旅。行程としては、飛鳥の古墳を見物してから、小雪もちらつくなか、平城京山奥の古事記を編んだ太安万侶の墓という、マニアしか行くことは無いところへ。最後に平城宮跡で散策という行程。しかし、午後からは猛烈な寒波と風で、平城宮跡では凍えてしまい、ガイドのおじさんが見かねて「ホッカイロ」をもらう始末。

 

『キトラ古墳の四神の館』
 まずは『キトラ古墳の四神の館』に。国営ということで入館料無料。ちょうど『朱雀』の実物の展示を行っていた。その前に売店で『キトラ 古墳と天の科学』(1000円)と『キトラ天文図のブックカバー』(600円)を早速ご購入。『キトラ 古墳と天の科学』の凡例には親切に、「用語や解釈については執筆者の意向を尊重し統一していない部分がある。」とある。この本でスッキリしない方は私の今回の発表内容(『中国古代星図の年代推定法』)を見ていただければと思う。
『キトラ天文図』の天井ランプ
 まず中に入って目に入るのが、天井の『キトラ天文図。 真ん中にあるのが北極星。700年頃には北極星はHR4853という星に替わってますが、キトラ天文図に描かれているのはまだ晋の時代からの北極星HR4852です。

【借用写真】

【借用写真】
『四神像』
 撮影した中に、見学した『朱雀』の写真が無いと思ったら撮影禁止だった。

【借用写真】
『石室内』
 石室が復元されている。
『キトラ古墳』
 現在のキトラ古墳の外観。
『牽牛子塚古墳』
 車をとめて、先に見える白亜の『牽牛子塚古墳』(説明文[借用])まで歩く。観光客の姿は皆無。帰りがけに一組に会っただけ。マニアでないと、最近復元された、斉明天皇の天皇陵である八角墳と知る人はいないだろう。 この前の八角墳は、最初の天皇陵・八角墳である、舒明天皇の桜井市の段ノ塚古墳[改装墓]。 『牽牛子塚古墳』に続くのが、京都市の御廟野古墳(天智天皇陵)、明日香村の野口王墓(現天武・持統陵)、最後が中尾山古墳(文武天皇陵)。
 たぶん、長安にある漢代のピラミッド型の皇帝墓を見た遣隋使・留学生が、帰国してから、皇帝墓に替わる独自性を持たせた八角の天皇墓を考案したのだろう。したがって、『皇帝』に代わる『天皇』の思想は舒明天皇の時代に生まれていた。
 古墳からは、文武持統陵、中尾山古墳、高松塚古墳が見えますが、『牽牛子塚古墳』より後の時代の古墳です。
『飛鳥資料館』
 次に『飛鳥資料館』での見学。
 30年以上前に『高松塚古墳』を見たときに来たが、その時の展示内容は記憶がない。やはりキトラの展示が多かった。
『飛鳥浄御原宮復元模型』
 中央左が『飛鳥浄御原宮』、右が『役所群』との説明パネルがある。しかし、斉明天皇の『後飛鳥岡本宮』も同様の造りだろう。その前の建物が『エビノコ郭』と呼ばれる建物。『大極殿』ともされているが、宮の中軸線にない『大極殿』はありえない。
 左下に『東橘遺跡』とされる建物があるが、20数度西偏していて、正方位時代の造営ではないだろう。 多分舒明天皇の飛鳥岡本宮の630年代だろう。
『エビノコ郭』
 『エビノコ郭』を西から見ればわかるように、西に開けた飛鳥唯一の大路、飛鳥横道に向いた西門しかない宮殿だ。 たぶん、北極星の神殿が大極殿であるように、この建物は『太陽殿』とも呼べる太陽の神殿だろう。なのでこの建物の中軸線は東西のラインである。
『太安万侶の墓』
 『太安万侶の墓』は奈良の田舎の茶畑にあります。 墓誌は最後の日に訪れた橿原考古学研究所で展示されていた。
『平城宮跡・復元朱雀門』
 『平城宮跡』の南で車をおろしてもらって、歩いて散策。まず、遠くに朱雀門がありました。その裏は電車が通っていて、踏切を越えて『大極殿』へ行きます。
『平城宮跡・復元大極殿』
 夕暮れに大極殿につきました。これは第一次大極殿を復元したものとの説明があります。また、屋根の上には宝珠の飾りがついています。これは北極星を模したものではないかと考えます。同じものが内部に展示されています。また、高御座もありましたが、これも天皇を象徴する八角形です。この日は極寒で観光客はほぼおらず、ふきっさらしの平城宮跡では凍えてしまい、大極殿ガイドのおじさんが見かねてホッカイロをくれました。
『平城宮跡・資料室』
 締め切りまで10分ぐらいしかないということで、走って行ったけど、期待していた平城京の復元模型みたいなものはなく、朱雀門と大極殿だけだった。しかし、これだけでも大極殿は南北軸線上に造営されていることが明確だ。
【追記】平城京復元模型は奈良市の市役所(朱雀門の東1kmぐらい)一階で展示されているようだ。ネットで調べないと気づく観光客はいないと思うのだが。

 これでこの日は終了し、西大寺駅経由でホテルに帰宅。


2023/01/29 掲載

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