おおぐま座



 先に述べたように、まず、おおぐま座から始めよう。ヘシオドスは次のように伝えている。彼女はアルカディアを治めていたリューカーオンの娘でカリストと名ずけられていた。彼女は狩りに夢中で、アルテミスと一緒になった。彼女はその同じ気性から女神に好かれた。後に、ジョーブ(JOVE)の子を孕んだ時、ダイアナに真実を言うのが恐かった。しかし、出産の時期が近づくにつれ、お腹が大きくなり、それを長く隠しておくことはできなかった。彼女が川の流れで疲れた体を休めて入たとき、ダイアナは彼女が処女性を保っていないことに気づいた。彼女の大いなる裏切りを考慮し、女神は軽い罰を与えなかった。彼女の処女の特徴を奪い、ギリシャ語でアルカトスと呼ばれる熊の姿に変えた。この姿で彼女はアルカスを生んだ。

 しかし、コメディの作家アンフェイス(Amphis)が言う様に、ダイアナの姿に変装したと思われるジュピターが、狩りであたかも彼女を助ける様に付いて行き、他の者から見えない位置になった時に、彼女を誘惑した。ダイアナにその膨れた姿の理由を聞かれた彼女は、これは女神の過ちだと答えた。この答えにより、ダイアナは彼女を上に述べた姿に変えた。森の中で野獣の様に徘徊していたと時に、彼女はあるアエトリア人に捕まり、彼女の息子とともにアルカディアのリューカーオン王のもとに献上品として連れて行かれた。そこで、彼女は法を無視し、ジョブ リカエウス(Jove Lycaeus)の寺院へ逃げこんだ。彼女の息子はすぐについて行った。追跡したアルカディアの人々は彼等を殺そうとした。その時、彼の軽率さを忘れなかったジュピターは、彼女を助け出し、星座のなかに彼女と彼女の息子を置いた。彼は彼女をアルクトス(Arctos)、彼女の息子をアルクトフィラス(Arctophylax)と名付けた。彼のことについては後に述べよう。

 他の人は又この様にも言う。カリストがジョーブにより誘惑された時、ジュノーは怒り、彼女を熊に変えた。そして、彼女がダイアナの狩りで出会った時、彼女により殺された。後に認められ、星々の中に置かれた。

 しかし、別の人はこう言う。ジュピターがカリストを森の中で誘惑していた時、ジュノーは何が起きているのか疑い、彼を捕まえたと言える様にそこに急いだ。しかし、ジョーブは、彼女を熊の姿に変えることで、もっと簡単に彼の間違いを隠すことができた。ジュノーはそこに少女の代りに熊を見つけ、狩りをしているダイアナに、彼女を殺すように命じた。ジョーブはこれを見るのがいやで、星を熊の姿に似せて空に置いた。

 この星座は、多くの人が書いているように、沈まない。この理由を欲する人々はこう言う。テーテュース(Tethys)、オーケアノス(Ocean)の妻、は他の星々がその設定の為に来たときに彼女を拒んだ。それは、テーテュースはジュノーの乳母であり、彼女の婚姻関係が妾である為だ。

 歴史の作家である、アレテウスのテゲア(Arethus of Tegae)はこう言う。彼女はカリストでは無く、メギスト(Megisto)、そしてリューカーオンの娘ではなく、セテウス(Ceteus)でリューカーオンの孫娘である。セテウス(Ceteus)彼自身も「ひざまずくもの」(ヘラクレス座)であると言う。他の細かい点は上述と一致する。これらは全てアルカディアのノナクリス(Nonacris)山で起きたことである。


1997/09/07 Up
2005/01/16 Add Fig
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