今回は斗宿周辺の[天鶏2星]、[狗2星]及び[狗国4星]の星座を検証する。
【天鶏星】
北星の[第1星]に同定の相違あり。
元代及び宋代距星は明らかに清代の55e2 Sgrを示している。
月進図は方向からHR7443である。春海の同定も月進図と同じである。
小川は星食からは55e2 SgrとHR7443のどちらかであるが、光度と南宋天文図より55e2 Sgrを採るとしている。
ここでは宋代の星座として55e2 Sgrを採るが、古くはHR7443の可能性が高い。
【狗2星】
元代、宋代距星及び春海の同定は清代の同定と同じである。
小川は星食からは52h2 Sgrと42ψ Sgrとしている。
ここでは小川の案を採る。
月進図には[狗2星]ない。[狗2星]は元々は[狗国4星]だった位置にあるのではないかと思われる。
小川の検証のなかにも[狗2星]は元々[狗国4星]が混同されている記録(AD1076)があるとのこと。(著作集 p.132)
【狗国4星】
元代、宋代距星は清代の同定と同じである。
春海の同定は、宿度が1,2星はなく3,4星ははずれているがとりあえず渡辺も清代と同じとしている。
小川も清代と同じとしている。
月進図はその形から【狗】の星々を指していると思われる。従ってここには元々星座はなかった可能性がある。
上記AD1076の記録では42ψ Sgrが狗国西北星とされており、数(4星)と方向(右上)が月進図の同定と合致する。
[狗国4星]の同定はとりあえず清代の同定のままとする。