2)タンクから流出する水の流量の計算
パイプの穴の直径をdとすると、
穴の断面積 s=π*(d/2)^2 cm2 (注:^はべき乗を表す)
穴の直径を0.8mmとすると、s=π*(0.08/2)^2=0.00503 cm2
水の流出量u(cm3/m)=v * s = 18792 * 0.00503 =94.46cm3/min(cc/min)
ただし、これを実験で実測すると何割か減少します。この率を流量係数Rと呼びます。
流量係数Rは参考文献1)p.80によると、
R=1/(εi+εo+λ x L /d) としている。
ここでλ:流体摩擦損失係数 、 L:パイプ長、 d:パイプの直径。
またλ=64xμ/(v x d x ρ)
ここでμ:粘性係数(0.001)、v:細管内流速(3.1321)、 d:細管内径(0.0008)、 ρ:密度(998)
λ=64xμ/(v x d x ρ)=64x0.001/(3.1321x0.0008x998)=0.0256
参考文献では、0.8mmパイプでL=1000mmの場合、εi≒0.5、εo≒1.0とすると、
R=1/(εi+εo+λ x L /d)=1/(0.5+1.0+0.0256x1000/0.8)=1/(0.5+1.0+32.05)=0.1726
水の流出量はu(cm3/m)=R * v * s = 94.46 * 0.1726 = 16.30 cc/min
しかし、参考文献の実験結果ではこの計算の1/10ぐらいの1.6cc/minぐらいしか流れていない。
原因としては細管で微小流量のため水が連続的に落下せず、表面張力の影響が大きく出たためと分析している。
2. 国立民族学博物館のサイフォン式3段漏刻シミュレーションの場合
国立民族学博物館のサイフォン式3段漏刻シミュレーションの再現では片側が細いノズルを使用して行ったが、実際の国立民族学博物館のサイフォンは両側とも口径の同じパイプを使用している。以下の仮定と計算で、一時間あたり20リットル程度の流量がでることがわかる。(国立民族学博物館作成のプログラムでは4時間毎に72リットル補給する方式になっている。)この場合流量係数が0.45程度と片側ノズル方式に比べ約半分になっている。流量係数はhとともに変化するため、正確にシミュレーションする場合はそれも考慮する必要がある。
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