おうし座

本題「熊の守護者」


 この牛は、フィニキアのユーロパをクレタ島に無事に運んだことにより星のなかに置かれた、とエウリピデスが云。ほかの者は、イオが雌牛に姿を変えたときに、ジュピターがそれを改めたかったらしく、牛の前身だけの姿を星座の中に置いた、そして後ろの部分は暗い。東に向いて、顔を形作る星々はヒヤデスと呼ばれる。アテネ人のフェレシデス(Pherecydes)は云う、彼女等はリブレの乳母で、七つあり、以前はドードニデアエ(Dodonidae)と呼ばれたニンフであった。彼女等の名前は、アムブローシア(Ambrosia)、エウドーラー(Eudora)、ペディーレー(Pedile)、コローニス(Coronis)、ポリクソー(Polyxo)、そしてディオーネー(Thyone)。彼女らはリュクルゴス(Lycurgus)により逃亡の身にあったが、アムブローシアを除いた全員テティスの庇護を受けた、アスクリピアデス(Asclepiades)が云うように。しかし、フィレキューデス(Pherecydes)によると、彼らはリブレをテーベに運び、彼をイノに引き渡した、この理由によりジョーブはこれに感謝し、彼女らを星座の中に置いた。

 プレアデスはこのように名づけられた、ミューゼウス(Musaeus)によると、アトラスとアイトラ(Aethra)、オケアヌス(Ocean)の娘、の間には15人の娘が生まれた。そのうちの5人はヒヤデスと呼ばれ、彼は示す、彼らの兄弟はヒヤス(Hyas)だったので、この少年は姉妹に本当に愛されていた。彼がライオン狩りで殺されたとき、この先に述べた5人は、哀歌を奉げ続け、死んだといわれる。彼女らは彼の死に過度に嘆き悲しんだので、彼女等はヒヤデスと呼ばれた。残された10人(*)は彼女らの姉妹の死を思い悩み、自殺した;多くのものが同じ悲しみを経験したので、彼女らはプレアデスと呼ばれた。

(日本語訳注:*Star Mythsでは7人)
(日本語訳注:Star Mythsでは以下の部分はプレアデスの章に記載。)

 アレキサンダーは云った、ヒヤデスはヒヤス(Hyas)とボエオティア(Boeotia)の娘だったのでそう呼ばれた、プレアデスはオケアヌス(Ocean)の娘であるプレイオネ(Pleione)とアトラスの間に生まれたのでそう呼ばれた。

 プレアデスは数字で7と呼ばれる、しかし6つしか見えない。その理由は7人のうち6人は神と交際していたからと云われている。(3人はジョーブと、2人はネプチューンと、一人はマースと);7番目はシシュポス(Sisyphus)の妻と云われる。エレクトラ(Electra)とジョーブからダルダノス(Dardanus)は生まれた;マイア(Maia)とジョーブからマーキュリィ;タユゲテ(Taygete)とジョーブからラケダインモン(Lacedaemon);アルキュオネ(Alcyone)とネプチューンからヒュリエウス(Hyrieus);ケライノ(Celaeno)とネプチューンからリューコス(Lycus)とニュクテウス(Nycteus);マースとステロペ(Sterope)からオイノマウス(Oenomaus);しかし他の者は彼女はオイノマウスの妻と云う。メロペはシシュポスと結婚し、多くの物が云うようにベレロポン(Bellerophone)の父である、グラウコス(Glaucus)を生んだ。彼女の他の姉妹の功績により彼女も星座の中に置かれたが、彼女は人間と結婚していたので、彼女の星は暗い。他の者は、エレクトラが見えないと云う、プレアデスは星達が回るのを導いていると考えられているが、トロイが落ちて彼女の子孫ダーダヌスが廃されたとき、彼女は悲しさに動かされてプレアデスを離れ、北極圏に身を置いた。これにより、彼女は悲しみのなかに長い間いて、髪も結わず現れるので、彼女はコメットと呼ばれた。

 しかし古代の天文学者は、プレイオネ(Pleione)とアトラスの娘といわれる、プレアデスををおうし座と分かれて置く。プレイオネが一度ボエオティア(Boeotia)を娘達と伴に旅しているとき、彼女と一緒にいたオリオンが彼女を襲おうとした。彼女は逃げて、オリオンは7年間のあいだ探し求めたが見つけられなかった。ジョーブは少女等を哀れに思い、星への道を示した、そして後に、ある天文学者により、おうしのしっぽと呼ばれた。そして今日まで、彼女等が西に逃げるのを、いまだにオリオンは彼等を追っているようである。今日の作家はこれらの星をヴェルギリア(Vergiliae)と呼ぶ、彼等は春に昇るので。彼等はいまだに偉大な尊敬を集めている、彼等の昇るのは夏のしるしであり、彼等の沈むのは冬のしるしなので、−他の星座にはこのことはあてはまらない。


2001/11/17 Up
2005/01/16 Add Fig
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