おひつじ座



 これはフェリックス(Phrixus)とヘレ(Helle)をヘレスポントから運んだひつじと云われている。ヘシオドスとフェレセィデス(Pherecydes)は云う、それは黄金の毛皮を持っていた。;これについて我々は長めに話す。多くの者は、ヘレンがヘレスポントで落ちて、ネプチューンに抱擁され、パエロン(Paeon)と、いくらかの者が云うには、エドヌス(Edonus)を生んだ。先のフェリックスは無事アエテス(Aeetes)に戻った、ジョーブにひつじを奉げ、神殿にその毛皮を掲げた。ひつじの姿そのものは、ヌベス(Nubes)により星座のなかにおかれた。それは一年のうちで穀物の種をまく時期を示す、なぜなら、イノ(Ino)がそれよりも前に蒔いたら枯れたので。それが、逃亡の一番の訳である。エラトステネスが云う、ひつじは彼自身で黄金の毛皮を剥ぎ、記念にフェリックス(Phrixus)に与えた、そして自分から星になった、そのために前に述べた如くいくらか暗い。

 フェリックスは、オルケオメヌス(Orchomenus)の町で生まれたと云う、それはボエオティア(Boeotia)にある;他の者は、テッサリ(Tessaly)のサロネス(Salones)地方にあると云う。他の者はクレテウス(Cretheus)とアタマス(Athamas)、その他多くの者はアエオロス(Aeolus)の息子だと云う;他の者はまた云う、アタマスの息子のサルモネウス(Salmoneus)はアエオロスの孫だと。クレテウスはデモディケ(Demodice)と云う妻を持っていた;他の者は彼女をバイアディケ(Biadice)と云う。アタマスの息子のフェリックスの美しさに魅せられ、彼女は恋に落ちた。しかし彼からはその好意は得られなかったので;必要性に迫られ、クレテウスに彼を糾弾した、彼女に暴行したと言って、その他女性がよく言うことを言って。この報告に動揺したクレテウスは、彼の妻を深く愛しまた王でもあった、アテマスにフェリックスを殺すように説得した。しかし、ヌベス(Nubes)が間に入り、フェリックスと彼の姉妹ヘレを救い、ひつじに乗せ、ヘレスポントより先に逃げるように命じた。ヘレはヘレスポントで落ち、自然にその代償を払った、そしてヘレスポントは彼女の名前にちなんでいる。フェリックスはコルシカ(Colchians)まで戻り、先に述べたように、神殿に犠牲にしたひつじの毛皮を掲げた。彼自身はマーキュリーによりアタマス(Athamas)まで連れ戻された。彼は彼自身の無実を信じて逃げたのでアタマスを満足させた。

 ヘルミプス(Helmippus)は云う、リブレ(Liber)が彼の軍とともにアフリカを攻撃しているとき、多量の砂によりアモデス(Ammodes)と呼ばれる地にいた。彼は非常に危険な状態にあった、彼は進軍せねばならなかったが、水場の確保の困難さが増したので。軍は疲労の極みにあった、人間は何をしようかとさまよっていた。そこにそのひつじが、彷徨していて、兵士のそばに来た。それが兵士をみたとき、それは逃げ出した。兵士達は、しかし、をれを見ていた、砂と熱で前進するのも難しかったが、それを追いかけ、戦火の中に戦利品を見つけるように、そして後にジョーブ ハモン(Jove Hammon)の神殿、後に建設された、よりなずけられた場所にそれを追った。そこに彼らが着いたとき、彼らが追ったひつじの姿はもう見えず、しかしそれよりもっと望んでいた物、彼らは放棄された水源を見つけ、体の元気を回復した、すぐにリブレに報告した。彼は喜びのうちに兵士をそこに引き連れ、ジョーブ ハムモーン(Jove Hammon)の神殿を建てた、そこにはそのひつじを称えてそれを形取った像を造った。彼はひつじを星座のなかに置いた、太陽がそこにいるとき、全ての成長するものが生き生きするように;これは春に起こる、ひつじの逃亡がリブレの軍を復活させた理由で。彼はまたこうも望んだ、それが12の星座のチーフになるように、なぜなら、それは彼の軍のなかで一番のリーダーだったので。

 しかしエジプト情勢を書いたレオン(Leon)は、ハムモーンの像についてこう語る。リブレがエジプトと他の地を支配していた頃、全ての芸術が人間に導入されたと云われている、あるハムモーンがエジプトよりやってきて、ひつじの大きな群れを彼にもたらした、かれの願いがすぐにかなえられる様に、そしてなにかの発明者と呼ばれるように。そして、その好意に対して、リブレはエジプトのテーベの対岸の地を与えた。そして、ハムモーンの像を造った者は、それらを角のある頭で作った、人間が彼が最初にひつじの使い道を示したことを忘れないように。そして、しかし、リブレにその供物を供えようとするものは、ハムモーンから頼まれたものでなく、自分から彼にささげる者は、角の頭を持ったリブレの姿を作った、そして言った、記念にひつじが星座の中に置かれたと。


2001/11/18 Up
2005/01/16 Add Fig
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