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 エラトステネスの星座物語をAbbe Halmaの出版した「LES CATASTERISMES D'ERATOSTHENE」(1821)から紹介します。
 
 古代エジプト・アレキサンドリアの図書館長を勤めたとされるエラトステネスの書いた「CATASTERISMES」は「Καταστερισμος : placing amoung the star」(*)を意味し、オリジナルの著作の要約版とされる。題名は単に『星座』もしくは、内容的に『星座物語』と訳すのが適切だろう。もっとも現在ではPseudo-Eratosthenes作とされ実際にエラトステネス自身が書いたものかは議論がある。しかし、ギリシャ語で記述されておりギリシャ古代の星座文献という意味で重要である。内容はおおくま座にはじまり、個々の星座の由来と構成する星を説明し、最後に銀河の説明で終わるという現代の星座物語と同じ形式となっている。HPに掲載当初(1996年)は英訳も出版されておらず「Star Tales」でもAbbe Halmaの出版したギリシャ語/仏語対訳本「LES CATASTERISMES D'ERATOSTHENE」が参照されていた。(*:Greek-English Lexicon, Oxford, 1992ver. page 914)
 
 なお、後にJ. C. Schaubach著「CATASTERISMI CUM INTERPRETATIONE LATINA ET COMMENTARIO」(1795)よりラテン語版(原文をスキャンしてテキスト化)、それにTLG (Thesaurus Lingua Graeca)版の希臘語テキストを加えた。当初はHalmaの仏訳を機械英訳したものを参考に和訳していたが、重訳には問題もあったため、2023年5月13日から6月26日にかけて、希臘語からの直訳に改版した。翻訳は、Googl自動翻訳のギリシャ語をベースに修正しているが、自動翻訳の古代ギリシャ語への対応はまだ貧弱なので、正確な訳が必要な場合には、翻訳版として、仏語版は、J.P. I Massana, & A. Zucker『ERATOSTHENE DE CYRENE: CATASTERISMES』(2021,2013)、英語版は、T. Condos『STAR MYTHS OF THE GREEKS AND ROMANS』(1997)などを参照のこと。和訳版もあるが、全ての物語を完訳したものはいまだない。 (2023/06/26)


1. おおくま座(La grande Ourse ,The big Bear) (2023/05/13)
2. こぐま座(La petite Ourse ,The little Bear) (2023/05/15)
3. りゅう座(Le dragon, The dragon)(2023/05/15)
4. ヘルクレス座(L'homme a genoux, The man to knee)(2023/05/16)
5. かんむり座(La Couronne ,The Crown)(2023/05/18)
6. へびつかい座(La serpentaire, The "serpentaire")(2023/05/19)
7. さそり座(Le scorpion, The scorpion)(2023/05/20)
8. うしかい座(Le gardien de l'ourse, The guardian of the bear)(2023/05/21)
9. おとめ座(Le Vierge, The virgin)(2023/05/22)
10. ふたご座(Les Gemeaux, The Gemini)(2023/05/23)
11. かに座(L'ecrevisse, les anes, et la creche (The cancer))(2023/05/24)
12. しし座(Le Lion ,The Leo)(2023/05/25)
13. ぎょしゃ座(Le Coucher, The charioteer)(2023/06/21)
14. おうし座(Le taureau, The bull)(2023/05/26)
15. ケフェウス座(Cephee, Cepheus)(2023/05/27)
16. カシオペア座 (Cassiepee, Cassiopeia)(2023/05/28)
17. アンドロメダ座 (Andromede ,Andromeda)(2023/05/29)
18. ペガスス座(Le Cheval, The Horse)(2023/05/30)
19. おひつじ座(Le Belier, The Aries)(2023/05/31)
20. さんかく座(Le Triangle ,The Triangle)(2023/06/01)
21. うお座(Les Poissons, The Fishes)(2023/06/02)
22. ペルセウス座(Persee, Perseus)(2023/06/22)
23. プレアデス(La Pleiade, The Pleiades)(2023/06/03)
24. こと座(La Lyre, The Lyre)(2023/06/23)
25. はくちょう座(Le Cygne, The Swan)(2023/06/04)
26. みずがめ座(Le Verseau, The Aquarius)(2023/06/05)
27. やぎ座(Pan, Pan)(2023/06/06)
28. いて座(Le Sagittaire, The sagittarius)(2023/06/07)
29. や座(L'Arc,The Bow)(2023/06/08)
30. わし座(L'Aigle, The Eagle)(2023/06/09)
31. いるか座(Le Dauphin ,The Dolphin)(2023/06/10)
32. オリオン座(Orion, Orion)(2023/06/24)
33. おおいぬ座(Le Chien, The Dog)(2023/06/11)
34. うさぎ座(Le Lievre, The Hare)(2023/06/12)
35. アルゴ船座(Argo ,Argo)(2023/06/13)
36. くじら座(La Baleine ,The Whale)(2023/06/14)
37. エリダヌス座(L'Eridan ,The Eridanus)(2023/06/15)
38. みなみのうお座(Le Poisson ,The fish)(2023/06/16)
39. さいだん座(Le Nectar ou Autel ,The Nectar or Altar)(2023/06/17)
40. ケンタウルス座(Chiron, Chiron)(2023/06/25)
41. からす座(Le Corbeau, The Raven)(2023/06/26)
42. こいぬ座(Procyon, Procyon)(2023/06/18)
43. 五つの惑星(Les cinq Planetes, The five Planets)(2023/06/19)
44. 天の川(Le Cercle lacte, The Milky Circle)(2023/06/20)
【更新履歴】

[1997/06/14]  「CATASTERISMS」は50余りの章からなっており当方の貧弱な仏語、ギリシャ語の知識でとりあえず完訳しましたが、お気づきの点があればメール等でご連絡下さい。尚、翻訳は仏文をもとにMICROTEC社 French Assistant (Version 1.0,1993)にて機械翻訳した英文を参考に和訳しています。

[2016/07/08]  希臘語(Original)、仏語(by Abbe Halma)、英語(by French Assistant)を追加しました。20年前のもので仏語、英語についてデジタルデータが見当たらないのでここ2、3日で紙データからSCANしました。スペルチェックをかけたものをとりあえず参考までにUPしました。別途見直し予定。
調べたら仏語版はここにもありました。さすがに最後の行は削除されてますが・・・。

[2021/12/27-2022/01/07] Jo. Conrad Schaubach著「CATASTERISMI CUM INTERPRETATIONE LATINA ET COMMENTARIO」(1795)より,ラテン語版及びその和訳を加えました。和訳はGoogle翻訳をベースに編集します。Halmaのフランス語訳版での不明な箇所が明らかになる場合があります。原文で落ちている部分は青字で表示します。なお,「f」「s」の違いが不明瞭なところもあります。原書は題名で検索すれば,Google Bookでpdf版を入手できます。
 【注意】ラテン語追記部分の枠の表示等が正常でない場合は,ブラウザの履歴を一旦クリアしてから再度アクセス下さい。最新の[css]ファイルが適用されていない場合があります。

[2023/05/11]  TLG(Thesaurus Lingua Graeca)版の希臘語(Original)テキストを追加した。情報サイトはこちら。画像版もとりあえず残した。

[2023/05/13]  これまでギリシャ語版の横に提示していた和訳は、Halmaの仏訳を英語に翻訳ソフトで変換し、それを元に和訳していました。しかし、ラテン語訳と比べても、Halmaの仏語訳自体に不正確な点があり、TLG (Thesaurus Lingua Graeca)版の希臘語テキストを入手したことにより、Google翻訳(古代ギリシャ語対応は弱いようですが)を頼りに、3ヶ月程度の予定で、ギリシャ語からの直訳に順次切り替えています。切り替えたものは、以下の目次に表示しています。なお参考文献はここに記載のものです。ただし、ギリシャ語原文の区切り(句読点)は訳のため修正している箇所があります。これで以前よりより原文に近い訳になっていると思います。 ブラウザが「クローム」であれば、右クリックで出てくるメニューで、「日本語に翻訳」を選べば、ページ全体の原文が和文に直訳されます。これにより修正の具合がわかります。ただし、自動翻訳では、翻訳できずに訳が飛んでしまっていることもあります。
 このページを初めて掲載した1996年12月には、対訳本はHalmaの仏訳(1821)のみでしたが、現在では英訳本や和訳本も出版されています。この物語は、「ギリシャ語」「ラテン語」そして「フランス語」の原文が揃っているので、これらの言語の初学者が辞書を片手に読むには絶好の副読本になるのではと思います。

 この和訳を掲載している理由は、「カルデアの羊飼いの星座物語」等の、根拠不明の星座神話が日本の一般の天文界には満ち溢れており、他の学問と同じく原典を知ることが大事であることを思い出して欲しいためです。ここでは正解の訳を提供しているものでもありません。(和訳本という意味では、参考文献にあげたように2010年に既に出版されています。ただし、全ての星座が和訳されているわけではありません。)

[2023/06/14] J. P. I Massana, & A. Zucker著『ERATOSTHENE DE CYRENE: CATASTERISMES』の要約(仏文のGoogle翻訳)は以下となっており、それぞれの物語の後半に記載されている星座の構成は、大変重要な天文学的要素です。『カステリズムは、空に関する最も有名な古代の作品の 1 つを構成します。その著者は学識のあるアレクサンドリアの百科事典学者(紀元前 3 世紀)で、その著作は文化のあらゆる分野を網羅していますが、唯一保存されている著作は星座を扱ったこの文書だけです。古代の空に関するこの著作は、より広範なオリジナルの論文の要約版であり、神話の著作と天文学の著作の両方とみなされているため、非常に特別な地位を持っています。それは実際、すべての古代の星座に、空に存在する英雄やそこに存在する物体の起源にある神話の物語の最初の完全なマニュアルを提供します。また、天体上の星の位置を特定することで、既知の最初の星のカタログも提供します。最後に、それは星座の人物の姿勢と属性を記述しており、それによっておそらくテキストのオリジナル版に付随していたイメージを非常に正確に表現することを可能にします。この作品には、北半球で見えるすべての星座 (42 個の主星座と 6 個の副星座) と惑星が記載されており、古典的な星座の最初のリストが標準的な形式、起源、図面で示されています。このようにエラトステネスは、その起源の想像上の視覚的背景を説明することによって、今日でもほぼ変わらずに使用されている星座の命名法と分布の基礎を築きました。』